学術情報
縫合糸ワンポイント講座
モノフィラメント糸の特徴と合成吸収糸の抗張力保持期間
- 組織通過時の組織損傷が少ない
- ノンキャピラリーのため細菌が伝播しにくい
- 結び目の滑り下ろしが容易
モノフィラメント糸のデメリット
- ブレイド糸と比較すると柔軟性に欠ける
- 結び目が大きくなる
- メカニカルダメージに弱い
合成吸収糸の抗張力保持期間
合成吸収糸は抗張力保持期間や形状など、
術者のニーズ
に合わせて選択することが可能です。
エチコンジャパン 研修医向けプログラム説明用資料より
PDS*Uの結節保持力と結び方
エチコンジャパン製品カタログ PDS*UWound Closure Catalogより
モノフィラメント糸の糸切れ防止対策
一般的に糸は単純抗張力(単純に糸を引っ張ったときの張力)より結節抗張力(結んで引っ張ったときの抗張力)のほうが弱くなります。また、素材も糸の抗張力に違いをもたらします。同じサイズの絹糸と合成糸であるバイクリル*を比較すると、バイクリル*の方が約1.7倍強いというデータがあります(弊社比)。
さらに、編み糸とモノフィラメントのように、形状による違いが挙げられます。弊社に報告されている糸切れの80%近くは、モノフィラメントの縫合糸です。これはモノフィラメントが弱いということではなく、その特性に関係があるようです。モノフィラメントは糸表面が滑らかで組織通過性に優れています。しかし、糸表面の傷に非常に弱く、微細な損傷でも、そこを起点として損傷が広がり、糸切れなどにつながりやすい特性を持っています。(写真 )
術野で糸へのダメージをゼロにすることは非常に困難ですが、とくにモノフィラメントの縫合糸の取扱いには以下の点に気をつけてください。
- パッケージから取り出すときには、できるだけ水平に糸を引き出す(写真 )
- 糸を取扱うときに、セッシなど損傷を与えやすい器具はできるだけ使用しない
- メーヨー台でも金属機器に触れないようにする
高度管理医療機器 バイクリル* 承認番号:15700BZY01341000
高度管理医療機器 プロリーン* 承認番号:15300BZY01464000
*商標 cJ&J KK 2009