『スマート・わん』とは?
体長測定定規“K-Ruler”や栄養管理ソフトを使って「カンタンに」イヌの栄養指導に必要な情報の取得から、
さらに減量プログラム実施マニュアル等で栄養指導までできるシステムです。
K-Rulerはイヌの体長(肩甲骨−尾根部間長)を測定する定規です。
K-Rulerでイヌの体長を測定し、付属の栄養管理ソフトにデータを入力するだけで、理想体重や体脂肪率、給餌量などが計算できます。
2分56秒:K-Rulerでの測定方法 5分13秒:栄養管理計算ソフトの説明
イヌの栄養指導を行うにあたって最も重要なことは、その子の現在の栄養状態を知ることです。ご存じのように、臨床での栄養状態の評価にはBCSが用いられています。BCSは手軽に実施できる方法なので、ほとんどの臨床獣医師がこの方法を使って評価をしています。
しかし、飼い主さんの多くはBCSという栄養評価法を知りません。そのため評価結果に納得していただけないという問題が生じることがあります。BCSではなく、例えば、「この子の理想体重は12kgです。現在14kgあるので2kgオーバーしています。体脂肪率は27%です。理想体重の12kgまで体重を落としましょう。理想体重にするためのフードの給餌量は176g/日です」と言った説明ができれば、飼い主さんは愛犬の栄養状態をよく理解し、減量に挑戦しやすいのではないのでしょうか。
しかし残念なことに、これまで臨床で簡単かつ正確に理想体重を知る手段はありませんでした。
そこで考案されたのがK-Ruler+栄養管理ソフトです。
この定規を使って体長を測定し、その値を栄養管理ソフトに入力すると、簡単に理想体重が算出できるようになりました。さらに体重とペットフードのカロリーを入力すると体脂肪率とペットフードの給餌量が算出されます。
獣医学の専門知識や特別な技術はいりませんので、イヌの扱いに慣れた人であればだれでも使いこなすことができます。栄養指導は動物看護師さんにお任せ!
使用方法
K-Rulerを使った体長の測定方法と栄養管理計算ソフトの使い方について説明します。
- STEP.1
- イヌを正位させてください。怖がって尾を腹側に巻き込むような場合、あるいは落ち着かない場合は保定し正位姿勢を保持してください。
- STEP.2
- K-Rulerを背中に置き、左端(肩甲骨と記述)を肩甲骨突起に当てて左手で固定してください。K-Rulerの間隔に尾を挟み込み、右手で尾を立てて、尾根部の位置の数値を読み取ってください。
測定上の注意点
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(1)
成犬用です。幼犬には適用できません。体長60cm以上の超大型犬は測定できません。
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(2)
正位した状態で測定しないと正しい値を得ることはできません。正位状態を保持できない場合は必ず保定して測定してください
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(3)
尾根部とは仙骨と第1尾稚の接続部を意味しますが、実際の測定では尾の屈曲部底を目安にしてください。
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(4)
これまでの検討で何人かの先生から計算された理想体重が低すぎるのではないかとのご意見を頂きましたが、計算された値は理想体重(体脂肪率20%)であることに間違いありません。日本の臨床獣医師の診断するBCS3は体脂肪率25%とやや高いことがわかっています。また、制限給餌をして長生きしたイヌの平均BCSは2.6であったというデータがあります。
減量プログラム&栄養相談Q&A
体脂肪率が30%以上の愛犬の飼い主さんには肥満のリスクを伝え、減量プログラムを勧めてください。
肥満のリスク(1)
心臓や関節への負担が増加するのみならず、膵炎、乳腺腫瘍、膿皮症、外耳道炎など様々な疾病の羅患率が高くなるというデータがあります。
梅田他、日本獣医内科アカデミー・日本臨床病理学会:2010年大会抄録集pp275(2010)
肥満のリスク(2)
寿命が短くなります。肥満犬の平均寿命11.2年、理想体重犬の平均寿命13.0年というデータがあります。
Kealy RD etal.J.Am.Vet Med.Assoc.220.1315-1320(2002)
開発者プロフィール