学術情報

創傷治療の基本 〜モイストウンドヒーリング〜

  • 動物病院 エル・ファーロ 院長山本剛和

創傷保護用ドレッシングの様々な使用例(Hydro Site ハイドロサイトを使用)

[1]浸出液の多い広範な皮膚欠損創

(例:術創離開、熱傷などの治療中)

創傷の大きさに合わせて切って使用することも可能である
《注意点など》
壊死組織や膿が残っている場合はドレッシング材による被覆は禁忌である。デブリードマンを優先すること。 感染微候(腫脹、発赤、熱感、疼痛)のある創傷の場合も被覆はせず、抗生物質の全身投与とドレナージをしっかりと実施する。 「ピンク色のポリウレタン面」に浸出液が広範囲に滲んできたら、交換時期の目安である。しかし、動物の場合は粘着包帯などで全体を覆ってしまうことが多いため、通常は2〜3日を目安とするとよい。
皮膚欠損創の図
ハイドロサイトで創面全体を被覆し、 周囲を粘着テープで固定する。 その上からさらに広めの 包帯などで保護するとよい。
創面の面積が小さなときは、 ハイドロサイトを小さく(創傷よりも一回り大きなサイズに)切って使用することも出来る。

[2]過剰肉芽に対する使用

(例:あらゆる創傷の治療後期に生じうる)
過剰肉芽
ハイドロサイトで被覆
《注意点など》
基本的には[1]と同様の使用法である。 ハイドロコロイドその他の被覆材で創傷を治療した場合、肉芽組織が増殖しすぎて「過剰肉芽」の状態となり、上皮化が遅れることが往々にしてある。このような場合に、ハイドロサイトで軽い圧迫をしながら被覆をすると、肉芽が平坦になり上皮化が進むことがある。 壊死組織・感染徴候が残っている場合には被覆してはならない。

[3]肢端などに対する使用

肢端の外
ハイドロサイトで被覆
壊死組織が多量に存在する場合は、 ハイドロジェルなどによるドレッシング を先行させた後、ハイドロサイトによる被覆に 切り替えるとよい。

[4]ポケット状の浸出創

(例:術創離開、術後のセローマなど)

短冊状に切ったハイドロサイト
《注意点など》
ハイドロサイトがすぐに抜け落ちてしまうような場合は、ナイロン糸などで1糸留めておくと良い。 原則的には1 日1〜2回 交換する。
短冊状に切ったハイドロサイトの一端を創内に、反対の一端を創外に露出させ、ドレインとして利用する。 非固着性ガーゼ(メロリンガーゼなど)を使用して上から被覆し、吸引した液体成分を吸収させる。
ポケット創に挿入されたハイドロサイト
ポケット孔は比較的大きな方が良い。孔が小さすぎると右の図のようになり、却ってドレイン魔を邪する結果となる。
ポケットの孔いっぱいにハイド ロサイトを詰め込んではいけない。 ポケットに栓をして ドレナージを阻害することとなる。

[4]ポケット状の浸出創

小さく切ってポリウレタン部分を剥がしたハイドロサイト
《注意点など》
ハイドロサイトは軽く詰めるだけにする。ぎゅうぎゅうに詰め込まない。 壊死組織が大量に残っている場合には、外科的デブリードマンを優先する。 通常この処置は2〜3 日で充分である。
短冊状に切ったハイドロサイトの一端を創内に、反対の一端を創外に露出させ、ドレインとして利用する。 非固着性ガーゼ(メロリンガーゼなど)を使用して上から被覆し、吸引した液体成分を吸収させる。
切開した腫瘍内に、ハイドロサイトを軽く詰める。ガーゼなどで上から保護する。
浸出液の量が減少し、健康な肉芽組織が増殖してきたら、ハイドロジェル(イントラサイト)などを使用して被覆するか、[1] のような方法でハイドロサイトで被覆する。
これを1 日1〜2 回交換する。

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