学術情報

病院での歯科処置とホームケア

  • とだ動物病院 院長 戸田 功

各予防歯科処置の説明

【スケーリング】

歯肉縁上・縁下を問わず歯面からプラークとの歯石を除去することである。鉗子等 で歯石を取るだけでは、その歯の表面にはまだプラークとの歯石が粗く残っており、プラークとの歯石は再付着しやすいため、スケーラーで丁寧に取り、歯の表面をポリッシングすることが重要である。

ハンドスケーラーの使い方
歯に支点を取りながら、ストロークを繰り返しながら、歯冠部分の歯石を取る。鎌型スケーラーの先端は尖っており、エッジも鋭くなっているため歯肉縁下には使用できない。ハンドスケーラーによるスケーリングは使い慣れないと時間がかかるため、超音波スケーラーの方が一般的に使いやすい。
超音波スケーラーの使い方
口腔内を消毒の後、超音波スケーラーでスケーリング。先端のチップの当てる角度は15度以内にねせる様にして使用する
超音波スケーラーの歯肉縁上用のインサートチップ(通常スケーラーに付属しているチップ)では歯肉縁下のスケーリングは出来ない。
歯肉縁下のスケーリングとルートプレーニングは、キュレットで行う。スケーリングを行う際には、はじめに大きな歯石を抜歯鉗子等で軽く除去し、次に0.1〜0.2%に希釈したクロルヘキシジン等で口腔内を洗浄する。超音波スケーラーはチップの先端から水を霧のように出しながら用いる。
その水により汚れを洗浄し、歯とチップの冷却を行っている。歯面に対してチップの先端を垂直に当てない様にチップの側面で使用する(歯面に対して15度以内が良い)。垂直に当てると歯面がかなり傷つく。超音波スケーラーの強度はあまり強くない程度に設定し、チップには圧力をかけずに、それぞれの歯の近心・遠心・頬・舌側の4面を意識して、一つの歯に連続10〜15秒以内でスケーリングを行う。
その時間以上行うと歯髄に熱によるダメージをもたらすので、その歯のスケーリングが不十分なときは、他の歯に一旦移動し、再度戻ってからその歯のスケーリングの続きを行う。
【ループトレーニング】

セメント質内に入り込んで残存している歯石や歯周病変によって影響を受けた露出セメント質や象牙質をスケーラーやキュレットを用いて取り除くことである。ルートプレーニングにより、粗ぞうな歯根面が滑沢化され、細菌やプラークが付着しにくくなる。

キュレット/スケーラーの使い方
一般的にはキュレットで行うが、最近では、歯肉縁下部用チップをつけた超音波スケーラーでも行える。 キュレットをペンのように持ち、薬指等で歯に支点をとり、歯根についた歯石等をいろいろな角度から削り取り、根面を滑沢にする。 キュレットが歯石等に引っかからない程度に数回おこない、過度にエナメル質などを切削しないように注意する。 グレーシーキュレットを使用する際は、歯面に対してブレードの角度が重要である。
キュレットによるルートプレーニング。プルストロークにて使用
超音波スケーラーの歯肉縁下用チップによるルートプレーニング
【キュレッタージ】

ルートプレーニングを行った後、炎症を起こしている歯周ポケット内の不用な上皮と結合組織を、キュレットを用いて除去することをいう。

キュレットの使い方
右上顎犬歯口蓋側のポケットのキュレッタージ。指で押さえながらポケットの不良上皮を剥離し、歯肉部を指で歯面に圧着
歯周ポケット底にキュレットを入れ、指で歯肉の上からキュレットを押し、引き上げながら歯周ポケットの内側の不要な組織を削り取る。通常1〜2回程度行うことで除去できる。根面を洗浄後に歯肉を歯根面に指で圧着する。
【ポリッシング】

スケーリングを行った後の歯面は細かく不整な凹凸がある。それを研磨することをポリッシングという。スケーリングの後は必ず行わないと、歯面が粗くプラークや歯石が再付着しやすくなる。

ポリッシングの方法
ポリッシング。軽く歯面に当て、歯肉縁下もポリッシングする
マイクロエンジンのハンドピースにラバーか、ブラシのカップを付け、研磨ペーストをつけ、低速にて軽い力でポリッシングをおこなう。歯肉溝内にもわずかにブラシをいれて研磨する。ポリッシングの際は力を入れすぎたり、高速で行ったり、1つの歯に対して15秒以上続けて行わない様に注意する。仕上げに、ラバーカップを使用して研摩することで、よりきれいに歯面を整えることができる。
【プロービング】
プローブの使い方
歯牙と歯周組織の評価には、レントゲン検査に加えてプロービングが必要です。 歯周ポケットの測定方法は、プローブをポケットに垂直に25g 程度の軽い力で挿入し、その深さを測定し ます。
歯の全周にわたり歯周ポケット(正常な場合は歯肉溝という)を測定します。正常な歯肉溝は小型犬で 1mm、中型犬で2・3mm、大型犬で4mm、猫で0.5〜1mm 程です。それ以上の場合は異常です。 歯肉が増殖している場合は歯肉炎、歯周組織が破壊されている場合は歯周炎です。歯周組織や歯根の状 態の把握にはかかせない検査です。


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