学術コラム

猫の巨大結腸症に対する結腸亜全摘出術

  • 公益社団法人 日本動物病院福祉協会 認定外科医
    オールハート動物病院 院長池田人司

概要

猫の巨大結腸症による慢性の便秘は様々な原因でおこるとされている。もっともよく認められる原因として過去の骨盤骨折後の変形癒合により骨盤腔内が狭小化したために二次的に巨大結腸症を続発する場合と、特発性巨大結腸症が知られている。通常、6 ヵ月以上の難治性の便秘が生じた場合、骨盤拡張術を行っても結腸に不可逆的な変化が生じているため、便秘を解消する効果がなく結腸亜全摘出術が選択される。

術式

巨大化した結腸を腹腔外に取り出す

腸鉗子を用いてクランプする

十分に腹腔洗浄を行い閉腹する

下腹部を恥骨前縁まで正中切開し、巨大化した結腸を腹腔外に取り出す。また、巨大結腸症の場合は意味が無いので、術前は浣腸をしてはならない。

糞塊を用手により上方に移動させ、恥骨前縁より約4〜5cmの部位を腸鉗子(※林刃物製)でクランプする。恥骨前縁より短すぎると、のちに吻合を行った際、縫合部に過剰なテンションで縫合部の離解が生じる危険性がある。回盲部よりやや遠位1〜2cm の部位を45°の角度で腸鉗子を用いてクランプする。

あらかじめ腸間膜の血管は結腸に沿って結紮止血を行うか、超音波凝固切開装置などで凝固切開を行う。筆者は超音波凝固切開装置を用いている。血管走行についてテキストなどを参考に十分注意する。

縫合にはモノフィラメント吸収糸(PDSUまたはマキソンの4.0あるいは 5.0)を用いる。この場合の縫合は単純結節縫合、もしくは2層連続縫合により行われる。

閉腹時には十分に腹腔洗浄を行い定法に従い閉腹とする。術後48時間、猫は食事をとらないことか多いので十分な水和を行う。術後5日間は白血球の上昇、発熱に十分に注意する。通常は、残された腸管が代償するまで(術後 2〜4ヵ月の間)はプリンのような形状の便を排泄し、排便回数も7〜8回以上に増加する。

※林刃物製「腸鉗子」の特徴

ラチェットの開閉部分に余裕(通常の約2倍)をもうけているため必要以上に腸管を圧挫する事なく、安全に把持できることである。腸を吻合する際、術者の操作で腸管へ過剰な損傷を与え、吻合部の離解といった合併症が起これば腹膜炎から死に至るケースもある。我々が扱う腸管は健康でない場合もあるため必要以上に慎重に扱う必要がある。

ラチェット部分が、一般的腸鉗子は3段階、林刃物製の腸鉗子は6段階で、必要以上に腸管を圧挫しないよう設計されている。


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