エキゾチックアニマルの診察の基本

酪農学園大学 獣医保健看護学類
准教授 佐野忠士
近年、動物のリハビリテーションの重要性は認識されつつありますが、対象症例および手法の選択を誤ると症状を悪化させる恐れがあります。リハビリテーションは医療行為であり、患者の症状・状態を把握している獣医師の指導の下、動物看護師、飼い主さんが協力して行う事が正しいリハビリテーションと言えます。今回は基本的なリハビリテーションの流れの一例をご紹介します。

【6】疼痛管理

効果的なリハビリテーションを行うためには、疼痛管理は必要不可欠であり、疼痛管理を行わないリハビリテーションプログラム実施は十分な効果が得られないだけでなく、動物との関係性の悪化にもつながります。
ここではリハビリテーションに関連する疼痛管理に有効と考えられる薬物と成分を紹介します。

薬物を用いた疼痛管理

非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)は、保存的リハビリテーションの対象となる骨関節炎(OA)の疼痛管理や、手術直後の炎症反応抑制などリハビリテーションにおける疼痛管理に有効であり、現在、一般的に広く使われている薬剤です。
作用機序としては、組織炎症に伴い誘導されるシクロオキシゲナーゼ(COX)-2を阻害し、炎症部位における発痛物質の産生を抑制します。

NSAIDsの主な成分
投与後、鎮痛作用発現の時間は15分程度、45分程度、2時間程度と様々ですが、1日1回の経口投与で24時間作用が持続するとい われています。投与に伴い注意しなくてはいけない副作用としては、消化管障害・腎障害等が挙げられるため、臨床症状の注意深い 観察と定期的な血液生化学検査等のスクリーニング検査が必要と言えます。

関節内環境調整薬による疼痛管理

関節液の成分の調整などによる疼痛管理もリハビリテーションにおいては重要です。

関節内環境調整薬による疼痛管理に有効とされる成分

関節腔内への薬物直接投与による疼痛管理

疼痛管理としては関節腔内に直接処置する選択肢もあります。例えば急性の炎症の存在下であれば、関節腔内へステロイドやヒア ルロン酸を直接投与する方法もあります。

使用に対する注意点
項目 アドバイス 補足説明
複数のNSAIDs の併用
ステロイドとの併用
禁忌 同じアラキドン酸カスケードに影響するため、作用が強く発現し、副作用として作用する可能性がある
NSAIDs →
他のNSAIDs への変更
3〜5 日間の休薬を推奨 現在使用中NSAIDs の半減期の5倍の休薬期間を必要とするため
ステロイド→
NSAIDs への変更
約10 日〜14 日の休薬を推奨 現在使用中ステロイドの半減期の10倍の休薬期間を必要とするため

※その他疼痛管理に有効な成分に関しては、【11】飼い主への指導、アフターケアの項で後述します。


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