エキゾチックアニマルの診察の基本

酪農学園大学 獣医保健看護学類
准教授 佐野忠士
近年、動物のリハビリテーションの重要性は認識されつつありますが、対象症例および手法の選択を誤ると症状を悪化させる恐れがあります。リハビリテーションは医療行為であり、患者の症状・状態を把握している獣医師の指導の下、動物看護師、飼い主さんが協力して行う事が正しいリハビリテーションと言えます。今回は基本的なリハビリテーションの流れの一例をご紹介します。

【9】物理療法 モダリティー

物理療法の目的

マニュアル治療モダリティーをより特化し、物理学的特徴を利用した治療法
エクササイズにおける治療モダリティーの促進

期待できる効果

症状緩和、治癒促進

物理療法の種類

熱療法、電気刺激、治療用超音波、低レベルレーザーがあります。

熱療法(温熱・寒冷)
熱療法の種類 方法 必要器具、人具 効果・適応
温熱療法 39〜45℃で適応、開始後5 分間は1 分ごとにモニタする
患部に10〜15 分間、1日3〜4回患部にあてる
1 人
ホットパック
赤外線、温水
関節ROM の増大、筋痙攣の軽減、疼痛緩和、伸張性増加、治癒促進、代謝活性向上等に効果
表層組織、関節、マッサージ前のウォームアップとして○
寒冷療法 15〜25 分間、1日3〜4 回患部にあてる
手術後:1日3〜6 回(手術創へは直接行わないこと)
急性の関節炎:1日2〜3 回
1人
アイスパック、氷、氷嚢
循環の低減、腫脹軽減、筋攣縮、疼痛緩和、炎症の軽減、浮腫の抑制等に効果
急性受傷による出血、捻挫、手術後、運動後のクールダウン、急性炎症に○
電気刺激療法
電気刺激療法の種類 基本設定 必要器具、人具 効果・適応
EMS 周波数 100Hz パルス時間 < 1m sec(mA は患者ごとに設定)患者の状態に応じて2 回/ 週〜毎日 10〜20分間 1〜2人
専用の機器
筋収縮・神経機能回復促進、筋萎縮の予防に効果
関節炎、変形性脊椎症、整形外科手術の後、筋緊張、椎間板ヘルニア等に適応
頸部〜臀部、四肢に○
NMES
アドバイス:電極貼り付け位置の原則
刺激方法 設置位置
局所刺激 痛みのある部位に設置
末梢神経刺激 一つの電極を疼痛部位に、もう一方を
末梢神経の走行に沿って近位に設置
分節刺激 脊椎分節に沿った神経走行に沿って設置
節刺激 筋肉の起始部と終着部に設置
超音波療法
効果

筋痙縮の軽減、炎症の軽減、関節ROM の増大、伸長力の向上、疼痛緩和、治癒促進等

使用方法(目安)

0.5 〜 1.0w/cm2、5〜10 分間、ヘッドは1 〜 4cm/sec で動かします。

注意事項

1回の施術はサウンドヘッドの2倍の面積までにしましょう。皮膚への圧力は600g 以内にすると良いでしょう。

低出力レーザー療法
効果

血流増加、神経コンディションの変化、細胞レベルでの代謝活性化

適応

疼痛緩和、炎症軽減、トリガーポイントの弛緩、創傷治療、軟部組織の損傷等

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