エキゾチックアニマルの診察の基本

酪農学園大学 獣医保健看護学類
准教授 佐野忠士
近年、動物のリハビリテーションの重要性は認識されつつありますが、対象症例および手法の選択を誤ると症状を悪化させる恐れがあります。リハビリテーションは医療行為であり、患者の症状・状態を把握している獣医師の指導の下、動物看護師、飼い主さんが協力して行う事が正しいリハビリテーションと言えます。今回は基本的なリハビリテーションの流れの一例をご紹介します。

【8】運動療法 エクササイズ

運動療法の目的

関節の柔軟性、可動域の温存・増大と合わせ筋骨格系・神経系の刺激・機能の強化

期待できる効果

筋力増強、バランス強化、疼痛緩和により歩行機能の回復

エクササイズの種類

強化エクササイズとバランスエクササイズ

強化エクササイズ

目的:生理的体重負荷の回復を促す、筋力増強

自力起立・運動が不可能な場合
強化エクササイズの種類 必要器具、人員 効果・適応
補助起立 1 人
歩行補助ハーネス車イス
・ 自重を補助することによる筋力・筋量の維持・増強に効果的
サイクリング運動 1〜2人
動物の下に引くもの(マッサージの項を参照)
・ ROM の維持・改善、歩行運動感覚の再習得に効果
・ 四肢に○
引き込め反射誘発 ・ 筋群全体の運動、ROM の維持・改善、筋萎縮予防に効果
・ 四肢に○
屈伸運動 ・ 筋緊張の緩和、筋萎縮予防、筋肉・腱・靭帯の柔軟性改善等に効果
・ 四肢に○
自力起立・運動が可能な場合

・ 正しい姿勢・動きを常に意識し、できるだけ早期から開始します。
・ 歩行訓練は(健常肢のみで歩行することを防ぐため)自力で患肢の運動ができ、十分な体重負重が できるようになってから行います。

強化エクササイズの種類 必要器具、人員 効果・適応
3本肢起立
対角肢の体重負重
1〜2人
動物の下に引くもの(マッサージの項を参照)
筋肉活動の促進、バランス感覚向上に効果
お座り⇔起立 股関節と膝関節の屈曲増強・改善
手押し車歩行 1〜2人 前肢使用改善
ダンシング 後肢強化、使用改善
坂道歩行、階段、傾斜面 1〜2人
トレッドミルであれば傾斜の調節が可能
登り:後肢の伸筋強化
下り:前肢の伸筋強化
ウェイト歩行 1人
犬用ウエイトカフ
筋力増強、持久力向上
エクササイズの目安

短時間を頻回(3 〜 5 回/日)、動物が疲れるまで行わないようにしましょう。

※運動を行う上で痛みや跛行が認められた場合
→ 3 〜 7 日は運動レベルを半分に減らします。
→改善されたら、3 〜 5 日かけてステップアップ前の状態までゆっくり戻します。
→痛み・跛行の再発を防ぐため、ステップアップした運動も通常量の半分程度から開始します。

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